物事には表と裏、陽と陰がある。太陽があり、月がある。男があり女がある。人間の考え方については、安岡正篤先生もいうように「陽の働きたる功名心、金・位・権力・事業なども良い。だが、それと同時に陰の働きたる隠逸心・内省心が発現しうまく調和して、しかも大きく我々に抱擁されればされるほど、その人は大なる人物になってゆく。もし功名心のみならば無秩序と破壊であり、隠逸のみならば社会が少しも発展しない。普通の人間は一見相矛盾するがごとき二つの魂を統一して大きく抱擁することができずに、そのいずれかに軽々しく偏して、意気地のない、あるいは杜撰な生活をしているものである。」
易経でいう太極とは万物の根源であり、ここから陰陽の二元が生じる。根源はそもそも一つでバランスも取れているものなので、一極が突出し続けるということができない。ゆっくりと、ゆっくりと。陰徳を積み続けていこう。
東京:中央区新川(2009年10月)